富士通の館。テーマは「人間・ゆめ・技術」。傾いたドームに全編CGの全天周立体映像「ザ・ユニバース」を赤青メガネで映し、巨人ロボット「ファナックマン」や自動翻訳のショーも見せています。

どんな館か
富士通が「人間・ゆめ・技術」をテーマに出展した館です。夢は人間と技術をつなぐ架け橋だという考えのもと、4つのホールで構成され、その中心に全天周の映像ホール「コスモドーム」を置いています。ドームを取り巻くスーパーフレームは情報化社会のネットワークの広がりを表し、空中に浮かんでいるような独特な構造のモニュメントが外観を印象づけています。館の前面は滝が覆い、池の周りの緑とあわせて憩いの広場をつくっています。
全天周立体CG映像「ザ・ユニバース」
コスモドームでは直径20mの半球スクリーンを前へ29度傾け、客席も階段状に傾斜させています。上映にはIMAX社のオムニマックス方式を使い、70mm・15パーフォレーションの大きなフィルムを魚眼レンズでドームに映します。ドームでは偏光方式だと立体感が失われるため、赤青メガネのアナグリフ方式を採っています。
作品は全編をCGでつくった全天周立体映像で、恒星の内部で生まれた元素が超新星爆発で宇宙に散り、水の分子や氷、アミノ酸、DNAを経て生命が誕生するまでを描きます。米ローレンス・リバモア国立研究所のネルソン・マックスが中心となり、分子の動きを計算する場面は富士通が大型コンピュータFACOM M-380で、人物や銀河、土星などの場面はトーヨーリンクスが並列処理システムLINKS-1で制作しました。監督は柳瀬三郎とIMAX社のローマン・クロイター、音楽は樋口康雄です。英語題は「We Are Born of Stars」です。
テクノホールとコミュニラボ
テクノホールの一角には、ファナックが開発した身長5m・重さ25tの巨人ロボット「ファナックマン」が立ち、両腕で200kgのバーベルを持ち上げたり、自分とそっくりな小さな模型を組み立てたりします。コミュニラボでは自動翻訳のショーが行われ、フランスのAFP通信から届く英文ニュースを館内の大型コンピュータで日本語・フランス語・ドイツ語に訳し、電光ニュースとして流しています。
21世紀からのたより閉幕のあとのこと(史実)
アナグリフ方式だったため、「ザ・ユニバース」は閉幕後も横浜こども科学館の宇宙劇場やパリのラ・ジェオードといった既存のオムニマックス館で立体のまま上映された。幕張の富士通ドームシアターでは、2002年夏の特別上映で続編「ユニバース2」とともに公開された。
参考資料・出典
- 大口孝之「世界初の半球IMAXドーム×総天然色×完全3D! 伝説の『富士通パビリオン』秘話」AV Watch(2023年11月28日)(外部サイト・新しいタブ)
- 小倉義弘「映像メディア・コミュニケーション設備」テレビジョン学会誌39巻7号(1985)(外部サイト・新しいタブ)
- 「コンピュータグラフィックス映像」テレビジョン学会誌39巻7号(1985)(外部サイト・新しいタブ)
- 資料「国内館の照明」照明学会誌69巻5号(1985)(外部サイト・新しいタブ)
- 中島清一郎「ジャンボロボット(FANUC MAN)」日本ロボット学会誌3巻4号(1985)(外部サイト・新しいタブ)
- CiNii Research「コミュニラボと自動翻訳ショー」FUJITSU 36巻2号 科学万博-つくば'85特集号(1985)(外部サイト・新しいタブ)
- 富士通ドームシアター 夏休み特別上映(富士通、2002年、Internet Archive保存)(外部サイト・新しいタブ)
- ACM SIGGRAPH History Archives「Expo '85 Composite Reel」by Dentsu Inc.(外部サイト・新しいタブ)
- worldsfairphotos.com(個人サイト)Expo '85 - Fujitsu Pavilion(外部サイト・新しいタブ)
- I LOVE EXPO'85(個人サイト・2019年保存アーカイブ)富士通パビリオン(外部サイト・新しいタブ)
- I LOVE EXPO'85(個人サイト・2019年保存アーカイブ)富士通ドームシアター「ザ・ユニバース」取材記(外部サイト・新しいタブ)
- Wikipedia「ザ・ユニバース (映画)」(外部サイト・新しいタブ)
- Wikipedia「国際科学技術博覧会」(外部サイト・新しいタブ)